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Shota
パックロッドを中心に、ライフスタイルとしての釣りを提案するメーカーHuerco(フエルコ)に所属しながら、世界各地を釣り食べ歩くフィッシングピーターパン。厳しい釣りを強いられても、持ち前のハッタリと語学力で切り抜ける「適当さ」が武器。BIGFISH1983ジャパンアンバサダー、Rマジック・TONEDTROUTプロスタッフ、Patagoniaプロセールスプログラム。ネギとタマネギが食べられない。焼きそばはペヤング派。
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もうボチボチ中禅寺湖や渓流の解禁が近づいて来てソワソワしてくる時期かと思いきや、今年は何だかやること多くて、ギリギリまでスイッチが入らなそうなショータです。しかしやること多いのにも関わらず、フィッシングショーのシーズンも終わり情報解禁OKになったパタゴニアとダナーのコラボレーションによるブーツのレビュー記事をどうしても書きたかった!(いや本当はもう少し早く書いてよかったんだけど…)
きっとネットやショーの情報で気になってる方も多いと思う、Patagonia®︎ BUILT BY Danner。去年の秋、パタゴニアのスタッフであるムッタ氏とモンゴルへと遠征したこともあり、まだ情報が出回る前のFoot Tractor Wading Bootsを実際に履いて旅をさせてもらえるという機会に恵まれた。と言うことで、発売を目前に控えたこのウェーディングブーツの購入を考えている方にとって少しでも役立つ情報になればいいなと思います。BURITSU読者さんは絶対気になっているでしょう?笑
先ずはデザイン
いやこれは言わずもがな、ダナーライトを彷彿とさせるシンプルでカッコイイデザイン。このブーツを初めて見つけたのは、アメリカのICAST2018でパタゴニアブースを覗きに行った時のこと。そこで話をしたスタッフも、「デザインも履き心地もダナーブーツそのものだから、本当は今日も履いてこようかと思ってたんだよね(笑)」と話していた。まあ半分冗談ながらも、多分普通に履いてても違和感は確かにない。
写真はリバー・ソルト・ウェーディング・ブーツ
履き心地
僕はパタゴニアのウルトラライト・ウェーディング・ブーツ(以下UL)の現行モデルと旧モデルの両方を現役でローテーションしているのだけど、軽さと頑丈さを両立させたこのブーツはホールド感が強い、それと確かに水に入る前のこのブーツ達は軽いのだけど、水を吸った後はどうしても重くなる。別にそこに不満もなかったけど、BY Dannerのフット・トラクターは元々の自重が1,700g強、ULの1,000gちょっとに比べて若干重いものの、アッパーはフルグレインレザー、パネリングが1,000デニールのナイロンに、中は67%ポリエステル/33%ナイロン。簡単に言うと、まるで普通の革靴のような薄さ。結構ぶ厚めの機構でしっかりとホールドしてくるウルトラライトに比べて、特に足首周りはよりタイトで、履き心地は本当に快適でした。水に入ったとの重さの体感はむしろ軽いと感じるぐらい。水はけがとても良いし、それに乾くのも速かった。
役に立つかわからないけど、旧ウルトラライトとの比較
それと何と言っても足なじみがとても良い。2日もすると、アッパーのレザーが既に足の形に革が伸びてくるというか、初めて履いた時のピチッとした感じはなくとても心地よかった。きっとこれは通常の革靴とよく似ていて、実は普段履いているULに比べて1サイズ落としたブーツをお借りした。これはムッタ氏からのアドバイス。これ数ヶ月も履いてしまったら、、、と思うと恐ろしいほどのコンフォート感でした。
耐久性
モンゴルでおろし立て、新品の状態
こればっかりはモンゴルのフィールドでの約5日間と、北海道で10日間ほど履いただけなので何とも言えないけど、当然破損やトラブルはゼロ。薄くでもしっかりとしたレザーアッパーなので、岩や枝などの障害物からはしっかり守ってくれたし不安もなかった。北海道ではリトルプレゼンツ 5mm CR ソックスウエーダーと組み合わせたけど相性は良好。秋の北海道の冷たい川で立ち込む釣りではネオプレーンウェーダーが本当に助かる。2年前よく透湿で挑んでたもんだな(笑)借りたブーツはフェルトソールだったけど、モンゴルは崖の登り降りもあったし、北海道も屈斜路・阿寒ではかなり歩いたのもあってソールは結構減った印象。フェルトソールは既に2ペアあるので、ダナーに関しては初めてアルミバーを選んでみようか検討中。そんなことはどうでも良いか…
携行性
ブーツの構造がULに比べて薄いんで、ぺしゃんとして折り込みながら収納することで、思ったよりかなりコンパクトにキャリーに詰め込むことが出来た。これは遠征の多いアングラーにとってはかなり大きなメリットに感じた。携行性とは少し話がズレるけど、その薄い作りの恩恵か、モンゴルの帰りは最終日の半日薪ストーブの近くに置いておいたらソール以外は結構乾いてくれていた。靴にとってはあまり良い方法とは言えないかもしれないけど、色々な国に遠征に行っていればこんなシチュエーションは多々出てきます。帰りのフライトにまだぐしゅぐしゅのブーツを抱えて行くのは結構ストレスなので、この辺も良いなと思ったポイント。
気になる部分
いや、そんなこと判断するのはおこがましい話ですが、使い勝手や履き心地、品質に関しては全く問題なし。むしろ絶対買いますってレベルだけれど、強いて言えばフェルトソールの減りの速さが若干気になったのと(ひょっとしたら製品版は違ったりするのかもだけど)、正直お値段もデザインに負けないぐらい相当カッコイイ(笑)確か販売価格は70,000円弱。まぁそりゃそうさね、ダナーとのコラボだものね。しかし高い買い物には間違いありません。
The last pair you’ll ever need / これが最後の1足になるでしょう
しかしダナーとのコラボレーションはただそのアウトドアブーツの定番ブランドの看板を借りただけではなく、その後の修理や張り替えなどもダナーを通して行うことが出来るそうで、その気になったら一生履くことも出来るかも?と大袈裟でなく思う。それとこのブーツは「経年変化」をカッコイイものとして感じることが出来ると思います。実際に2回の遠征を通してガシガシと履き倒したブーツのアッパーは、岩や倒木などで擦れてすっかり味が出て良い感じに。だけどなんだか、この靴だとむしろそれが良いというか、ただのギアとしての役割や耐久性を超えたところにある愛着を、僅か3週間にも満たない旅を通して感じてしまいました。なんなら新品の価格で買うので、あの時の「彼女」を売ってくれないかなぁと本気で思ってしまうぐらい(笑)
先に書いた足なじみも含めて、「長く履くこと」を前提に、手をかけながらドラマチックであろう数々の釣行を共にしていける相棒として考えれば、僕は是非オススメしたいなと思いました。パタゴニアの培ったフライフィッシングのノウハウと、ダナーの靴作りに対するこだわりと歴史が詰まったプロダクト。これは”良いモノ好き”の釣り人ならひとまずチェックせずにはいられない逸品ですよね。
と、なんだか現行のウェーディングブーツとの比較レビューのつもりが、後半は既に溺愛してしまっているブーツへのラブレターみたいになってしまいましたが、少しでも、気になっている方達の役に立てればなと思います。良いものを長く使うというのは、実は結構言うは易く行うは難しなスタイルです。だけどそのマインドは、釣りや自然との関わり方にさえ影響するほど素晴らしい考え方だと思います。僕は最高の遊びである釣りを出来るだけ長く楽しみたいし、出来れば自然をなるべく多く次の世代に残して釣りの楽しさを伝えられたらいいなぁとも考えていて、このブーツに限らず、そんな自分のスタイルを形作るために、これからも良いモノを大切にしていきたいなぁと思います。