三連休最期の夜。いろいろ事情があって外出の予定はキャンセルしてしまった。
仕事をしたりもしていたのだけれど、静かな夜に読書を。といっても漫画だけれど。
五十嵐大介氏による「海獣の子供」。1−5巻で完結。
海で(そして空で)起きる神話的ともいえる事象に魅せられた人々が取り込まれて行く水の世界を、圧倒的な画力と大きなコマ割りで丁寧に描いて行く。
絵を見ているだけでも癒されるし、海の水の持つボリューム感はフィクションの世界だけれど、「ああ、魚はこういう目線で感じているのかもしれないな」と想像を馳せる事もできる。
テーマとなっているのは、こんなフレーズ。
星の、星々の。
海は、産み親。
人は、乳房。
天は、遊び場。
宇宙と海と生命についての関連について考える事の意味が、この漫画には描かれている。
事実が描かれているのではない。自ら考えて、そして行動すること。感じた事を判断する事の重要さだ。
実際、未発見の海洋生物は100万種を超えるという分析もあったりするし(現在の判明してるのはたった23万種)
僕らが知っていると思っている、海の、生物の知識や関係性なんてゼロに等しいくらいなのだろう。
それでもアングラーは水辺に立ち、ロッドを振り、考える。そして分析をして、また水辺に立つ。「魚を沢山釣りたい」というモチベーションだけでは 決して説明する事の出来ない人間の知的欲求が何故これほどまでに溢れているのか、どこからくるのか。
そんな 答えのでないことを、ことさらゆっくりと、雨の夜に考える。
この雨も空から来て海に還る。
そして、最終章にはこんな言葉が残される。
「一番大切な約束は 言葉では交わさない」
きっとそうだ。
だから水辺に立つ。
僕も言葉では言わない。
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